
居酒屋の話。
オーストラリアから戻って、体調がずっと良くない。飛行機の中に10時間もいると、どうしても調子が狂ってしまうし、食事の変化もある。ご存知のように、機内食は決して美味しいとは言えないし、現地の食事もどうもイマイチ。シーフードもステーキも食べたけど、日本のほうが遥かに美味いと思う。
海外に行くたびに、日本の居酒屋のようなレストランがあればと思う。肉、魚、刺身、珍味、サラダなど、食べたいものを少しずつ注文できるという居酒屋スタイルは、日本独特なのだろうか。海外に行かれた方なら頷いていただけると思うが、あちらはとにかく一品が大きい。小皿料理はなく、極端な話、全部大皿料理という感じだ。
さて、前回、ブリスベンにある、独身男女が出会いを求めて集まる「シングルバー」の話を書いた。でも、日本の居酒屋だって、「シングルバー」になるチャンスは十分あるのだ。作家、川上弘美さんの人気小説『センセイの鞄』は、居酒屋で出会った中年女性(=ツキコさん。)と初老の元国語教師(=センセイ。実は、ツキコさんの恩師。)の恋愛物語である。
居酒屋のカウンターに一人座ったツキコさんが「まぐろ納豆。蓮根のきんぴら。塩らっきょう。」を注文すると、センセイも同じものを注文した。食べ物の嗜好が似ていることをツキコさんとセンセイは同時に感じ、お互いを意識し合う。以前、食べ物の嗜好が合うカップルは長続きするのではないかという話を書いたが、この小説では、食べ物の嗜好が合うことが、男女を接近させている。
ツキコさんのように、一人で居酒屋に行ける女性はまだ少ないのかもしれないが、遠慮しないで男性のようにどんどん出かけていったらいいと思う。男性のほうも、女性が一人で飲んでいるからといって、昔のように奇異に感じる人はいないと思う。それにしても、ツキコさんとセンセイの出会いの場が居酒屋というのが、酒好きの僕にとっては嬉しい。またまた偏見だと叱られるかもしれないが、高級で洒落たレストランで出会った男女よりも、コテコテの居酒屋で出会った男女のほうが上手く行く、そんな気がするのだが、如何だろうか。
写真は、シドニーの夜景。夜景.COMから拝借しました。











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